箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫 A.ウォーカー)
2007年10月27日 古代人の涙壺
ノアの方舟を題材にした、蠅の王みたいな感じだろうか。
もっとも、当時よっぽど子供向けに書かれたようで、蠅の王とは異なり、明らかな戦闘シーン(?)はない。
原始、大地は満たされていて、生き物はみんな草食動物だった。ノアが船を造る。動物たちが乗り込む。狭い、閉塞的な空間で、限られた娯楽と食事。動物たちは、ノア一家は、なんとか譲り合ってちょっとした問題をクリアしながら洪水の日々をすごす。
そしておだやかな日常の中に突如現れる黒い滲み、積み重なる澱、拡がる不安、そういったものは一見綺麗な顔をして侵入し、浸食していく。肉食動物たちは「肉食」を思い出していくことになる。
作者、ウォーカーは第1次大戦に軍医として従軍したらしい。その影響だろうか、「人間はもちろん、いきものだって仲良く共存共栄なんてそうそうできないんだよー」とあきらめ半分に訴えているようだ。
なかよし、って努力の持続と日常の満足がないと実現しないのだろう。
こんなふうに、いつも自分の権利ばかり主張しているようじゃ、まだまだ人間に争いは絶えまい。
もっとも、当時よっぽど子供向けに書かれたようで、蠅の王とは異なり、明らかな戦闘シーン(?)はない。
原始、大地は満たされていて、生き物はみんな草食動物だった。ノアが船を造る。動物たちが乗り込む。狭い、閉塞的な空間で、限られた娯楽と食事。動物たちは、ノア一家は、なんとか譲り合ってちょっとした問題をクリアしながら洪水の日々をすごす。
そしておだやかな日常の中に突如現れる黒い滲み、積み重なる澱、拡がる不安、そういったものは一見綺麗な顔をして侵入し、浸食していく。肉食動物たちは「肉食」を思い出していくことになる。
作者、ウォーカーは第1次大戦に軍医として従軍したらしい。その影響だろうか、「人間はもちろん、いきものだって仲良く共存共栄なんてそうそうできないんだよー」とあきらめ半分に訴えているようだ。
なかよし、って努力の持続と日常の満足がないと実現しないのだろう。
こんなふうに、いつも自分の権利ばかり主張しているようじゃ、まだまだ人間に争いは絶えまい。
コメント