母親の事情で物心付いた頃から電車にまったく乗ったことがない沖縄の女子高生「空海」が、遺産分与に関わる祖父の招待を受けて、寝台特急(SL)の「げんや」に乗り込む。そこで待ち受けるのは、7人のテツと殺人だった・・・
ここのところ移動に次ぐ移動でバタバタしていたのだが、どんな土地でもついフラリと書店に立ち寄ってしまうのが、もう癖というか性というかなのだが、なるべく荷物を最小限に押さえたいと思いつつ、この本ばかりはどうしてもすぐに読みたくなってしまい、あえて購入。
佐々木倫子のまんがはどちらかというと静的な絵柄と天然と軽いツッコミ、そして無軌道なやつらによって構成されている印象があって、そんな漫画が綾辻ミステリとどう絡むのか、それはずっと気になってはいたのだ。
実際のところは、佐々木らしさはまったく損なわれておらず静的な絵柄も、天然(空海)も、無軌道なやつら(テツたち)も、ツッコミ(適材適所に)も、佐々木らしくそこにあった。
綾辻らしさを探せば、寝台特急という密室性、それとつながるような月舘の祖父の豪華な館という「館シリーズ」につながるような「本格路線」であろうか。鉄道ミステリとは銘打ってはいるが、今のところ時刻表トリックとかはなさそうである。
さてさて、いずれにしても、重い思いをして移動するだけの価値ある漫画ではあるだろう、佐々木倫子や綾辻行人の、あるいはその両方のファンであれば。
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