あの島田荘司が褒めているんだもの、という、如何にも安易かつ受動的な理由で手にした一冊ではあったが、なかなかどうして、その内容たるや、系統だって読みたくなるような内容だった。

 分類としては「叙述ミステリ」となるだろう。さらに言葉遊びとして「倒錯」「盗作」が絡み合うのである。
 それに叙述に倒錯が付加されると、なんだか狂気がそこにある感じがする。狂気がなければ、叙述で倒錯する必要なんてないからだろう。その狂気は、なんだか日本的な湿度を帯びていて、欧米ホラーに対する日本(アジア)ホラーの特徴というか、そういうじめっとした、「ハラハラ・ドキドキ」よりは「おどろおどろ」という感じの、そういう印象をじっくり読者に与えるあたり、「ミステリなんて単純だよ、犯人あてでしょ」みたいなライトミステリに食傷気味の人にはぜひとも読んでいただきたい。

 ね、こんな風にだらだら書くと、このちょっとした叙述すら倒錯しているように見えません?

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