初めて読んだのは中学生の頃で、冬になるとなんだか読みたくなる漫画である。左に立つ大きなふかふか猫は詩人(詩猫?)の「もっぷ」であり、右に立つのはその妻の「ぷりん」なのだが、この2人、かなりうらやましいスローライフを過ごしているのである。

 この漫画には「乾杯糖」というエピソードがあって、確か、「クリスマスの夜に子供たちは早く寝て、大人たちが楽しく乾杯してグラスをカチリと重ねあうと、そこから金平糖が飛び出し、それを乾杯糖という
。子供たちは翌朝以降、それをおやつにしてホットミルクに浮かべたりする」などという話だったと記憶している。

 「神聖・モテモテ王国」という漫画の中で「ナオン(女)にもてるにはメルヘンじゃよー」などという発言があった。
 しかし、実際にメルヘンな女はやや「不思議ちゃん」であって、斯く言う私は「メルヘン」から最も遠い精神構造と職業で日々を送っている次第だ。
 それでも、冬になると「メルヘン」が恋しくなる。どんなにプラグマティズムに基づく行動をとる友人からも、ときに「メルヘン」の話題が飛び出す。そして、やっぱり大多数の女は「ディズニーランド」が大好きだ。
 女はその母性の中に「メルヘン」たるものを潜ませているのだろうか。同時に背反するような「現実主義」を抱えて。

 まあまあ、私ごときが「メルヘン」を語ろうというのがおこがましいというのは百も承知ではあるが。

 話は変わって、この漫画が文庫化した際に、巻末に「解説」が付記されている。1巻だったか、2巻だったか、それは失念してしまったが、歌人・森島章人氏の解説があった。
 氏はまさにかつての私の師であったはずなのだが、適当な学生生活を送っていた私のことなど、森島先生は覚えておられないであろう。
 その後、森島先生の「アントナン・アルトー本」など読むにつけ、もっとコンタクトを取りやすい学生時代に熱心な学生であるべきだったと後悔している。それでも執念深くその「アルトー本」にサインのみならず短歌を記していただくという勝手な、ぶしつけなお願いを、しかも後輩を通じてやってのけてしまったのだが、その詳細はまた後日語ることとしたい。

 さて、どのような性質によるか、だらだらと堅苦しい駄文を書き連ねたが、本当は「小さなお茶会」のエピソードたちにほっと心を温かくすることのある、実は「メルヘン好き」でもあるのです。本当は詩人になりたかった、と、ヘッセの様な一言を残して、今日はホットミルクを飲むつもり。

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